飯塚の市街地を少し外れた場所に、コンクリートの塊だけが残っている。
三菱飯塚炭鉱の巻き上げ機台座。かつて地下から石炭を引き上げていた装置の基礎だ。今は機械も建物もなくなり、残っているのはこの台座だけ。
最初は、これが何の跡なのか分からない。ただ、近づいてみると、ボルトの跡や配置の規則性に気づく。ここに、かなり大きな設備が据えられていたことが想像できる。
巻き上げ機は、地下と地上をつなぐ装置だった。つまりこの場所は、地上の終点であり、地下への入口でもあった。
空から見ると、その構造がよりはっきりと見えてくる。四角く区切られた基礎と、周囲との距離感。単なるコンクリートの塊が、「機能の跡」として立ち上がる。
筑豊の炭鉱は、日本の近代を支えた場所でもある。その中心にあった設備は失われたが、こうして基礎だけが残ることで、逆に時間の積み重ねが見えてくる。
派手な景色ではない。けれど、ここに何があったのかを想像すると、この場所の見え方は少し変わる。