九州を南へ南へと走っていくと、
やがて道路は細くなり、海の匂いが濃くなっていく。
地図の端。
本土のいちばん南に近づいている。
この場所には、観光地のような派手さはない。
むしろ、静けさのほうが印象に残る。
海は深く青く、
断崖に当たる波が白い線を描く。
空から見ると、
大隅半島の先端は、まるで海に突き出した刃のようだ。
その先には、
ただ水平線だけが広がっている。
南の海の光は強く、
風は思ったよりも荒い。
けれどその風が、
この場所の輪郭をつくっている。
木々が揺れ、
海面がきらめき、
雲が速く流れていく。
その動きを上から眺めると、
この半島が海と風に削られながら
長い時間を過ごしてきたことがよくわかる。
旅というのは、
必ずしも何かをすることではない。
ただ、
その場所の端まで行ってみる。
それだけで、
景色の見え方は変わる。